海外研修報告
1 はじめに
アメリカ合衆国及びカナダの情報通信回線や情報教育について,世界の最先端を走っていることは,周知の事実である。様々な機会に,日本は欧米に比べて情報通信の分野で,遅れているということを耳にすることが多く,日頃,情報教育に携わっている私としては,自分自身の目で確かめたいという気持ちを持っていた。そしてこの機会を得ることができた。せっかく行くのであれば,普段興味を持っていることを少しでも多く研修したいと考え,日本でも大きな関心が寄せられはじめた自然エネルギー等についてもテーマの一つとした。
事前の準備では,高度情報通信化社会の中にいるということを実感するため,電子メールで訪問したい会社等にコンタクトを取った。ホームページで調べると連絡先が掲載されており,メールを送り返事をもらうという作業がおよそ2ヶ月続いた。この返事をくれる人は,接客係りであり「はいどうぞ」という返事は1通もなかった。多くは,ここに連絡しろということで,再度連絡することになる。
一番スムースに行くのは,担当者に連絡してくれた場合で,直接日程などの調整ができたいへん便利で,高度情報通信化社会を実感した。しかし,これは大手企業や日系企業であり,ベンチャー企業等小さい会社と思われるところは,返事をもらうことさえできなかった。直接電話をしても,相手の部署や名前を言わないと取り合ってもらえないということで,米国企業では紹介者がいないと訪問の予約をすることは難しいということを実感した。電子メールの返事の中には,電話の連絡先や手紙で文書を郵送するようにというようなものもあり,英文での手紙の書き方などについても研修することとなった。残念だったのはアメリカの大手プロバイダーであるAOLからの返事で,「ワシントンに会社があるのでどうぞ」とのことであったが,返事をもらったのは旅行に出発した後で,ワシントンは訪問地に入っていなかった。それで残念ながら訪問を諦めざるを得なかった。郵送の文書を出してから1
.5ヶ月以上過ぎており,これが電子メールであったらよかったのにと考えると残念である。改めて電子メールの速さを実感したしだいである。また,高等学校も2校連絡をとったが,7・8月は夏休みのため教師は休暇でいないということで,「9月以降新学年が始まってからどうぞ」ということであった。
ちょうど本校にカナダから来ていた留学生がおり,その話をすると,カナダの両親に連絡をしてくれ,オンタリオ州の高校と教育委員会を訪問することができることになった。
ということで,約1ヶ月間,アメリカ・カナダの4地区を訪問することができた。自然エネルギー関係で,カリフォルニア,アリゾナ地区,情報企業関係でフロリダ地区,留学生の出身地であるカナダオンタリオ州,情報通信関係でニューヨーク州である。
訪問地では,多くの方々にお世話になり,予定になかった企業や学校等も訪問することができ,多くの情報を得ることができた。心から感謝するとともに,多くの方々にアメリカ・カナダの情報,教育,エネルギー開発状況等の一端を知っていただき,将来の日本の工業教育のあり方について考えて頂ければ幸いである。